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「シ」の音 [音楽雑感]

イベント尽くしの多忙な日々が過ぎ、今月は部屋でぼんやり過ごしています。
いろんな場所へ行ったり遠出したり・・・でも結局はこの部屋に戻って同じ態勢の自分がいる。
思えば、中学時代から自分の生活はな~んにも変ってないんだなうらやましいでしょ。


時間に余裕ができたので、少し前からいじくっている楽譜にじっくり取り組んでいます。
エネスクの「プレリュードとフーガ」
本当に素敵な曲で、絶対弾けるようになりたいと珍しく思ったわけで。
楽譜が絶版になっているものを苦労して見つけ出し、やった!と喜んだのも束の間。
またまた悩める状況に突入しています。

音がね。
ひとつだけ謎の音があるのですよ。
楽譜に。
それもフーガのエンディングの最もドラマティックな部分に。

enescu.JPG
この部分。

なんだろな~・・・・と、フリーズすること数日。

ポツンと現れるこの非和声音のシ。
弾いてみると結構インパクトがあります。
この音は作曲家の意図なのだろうか、ミスなのだろうか、印刷のミスなのだろうか・・・
前からの流れから見るとおやっという響きなのですが、構成音の中から音を抜き取ってみると内声のメロディーとしてなんとか成立し得る音となります。なにせフーガですから・・・

これを作曲家の創意ととらえるべきか・・・どうなんだろう。
あまり弾かれることのない曲らしく、youtubeに上がっているのはひとつだけ。
その演奏では音をなおして和声音のドで弾いていました。
こうなってくると、安易ににドで弾くのもなんだかなぁという気もしてきて・・・

前回、同じエネスクの組曲を弾いたときにも同様な謎が何か所かありました。
その時は、作曲者自身の演奏を聴くことができたのでよかったのですが。
この作曲家の出版譜は不備が多い。
いいのか、そんなんで・・・もったいないですよ~。

この楽譜はサラベールから出ているのですが、サラベールがデュラン社と合併する際に絶版になりました。
なので、この先新しいエディションも期待できないです。

譜面の様相が普段よく見るサラベールのものとは違っていて、なんだろうと調べてみると、
元はEditura muzicalãという出版社から出ていた楽譜らしいです。
この出版社がなくなり、その版権をサラベールが譲り受け、そっくりそのままの形で再販したもののようです。
これがエネスクの生前中の出版だとすれば、このシの音は作曲家の意図と理解できるのでしょうが、そこまではわかりませんでした。

もっと理解できていないこと。
そもそもエネスクという人はどんな人なのだろうか。
彼は人生のなかで第一次世界大戦と第二次世界大戦を経験していて、作風も時代と共に大きく変化しています。
その根底にある祖国ルーマニアへの思い。
そのルーマニアとは?
私は、そこらへん何もわからずにたった一つの音の答えだけを見出そうとしている。
ダメだな、glennmie[パンチ]


というわけで、悩める日々はまだまだ続くと思われます。





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Mineosaurus

ボクが知ってる限り、YouTubeの演奏とルイザ・ポラックのピアノソナタ1番3番をいれたCD。ユリアン・ムサフィアが組曲といっしょに入れているおっそろしく早い演奏の3種類があると思いますが、今買えるのかどうかもわかりませぬ。ご指摘の部分を聴いてみましたが、ボクの耳にはYouTubeのクリスティアンの演奏と同じようです。リパッティが弾いているはずなんですが、カタログにはないですね。時代的に考えれば第1次大戦以前のパリ音楽院時代フォーレとかの影響を受けていて純粋に和声とフーガに才能を発揮していた時代だと考えてみると、どうも意図的ではない気もしますね。最も彼の晩年の叙情に傾斜した作品の中にもそういう色気を感じる部分もあったりしますから、悩みだすとデータが少ないから果てしがないねえ。
by Mineosaurus (2014-10-19 21:36) 

glennmie

Mineosaurusさん、どうもありがとうございます。
お手数をおかけしてしまい、感謝でございます。
大変参考になりました。
作曲年が1903年とありますから、ご指摘のように解釈するのが一番なのだと納得しました。
Cristian Petrescuさんの演奏は素晴らしくて聴き入ってしまいますが、自分なりの演奏ができるように頑張ります。
つかえがとれたので、やっとピアノにむかえます。(笑)
またまた助けていただきました。ありがとうございました。
by glennmie (2014-10-20 00:42) 

ハト

glennmieさん、お久しぶりです!
以前ブログに音源を載せるやり方などを教わったハトです!
なかなかあげられていないのがお恥ずかしいのですが…その節はありがとうございました!

実はいまお伺いしたいことがありまして、、
ヨハネス・アフリゲメンシスの「音楽論」に載っている旋法覚え歌なのですが、私も歌えるようになりたい!と思って音源を探しているのですが、なかなかみつかりません(;ω;)
だいぶ前glennmieさんのブログでなんか見た気がする!と思って探してみたら、グイドの手のほうでした。
glennmieさんなにか覚え歌の音源ご存知でしたらぜひ教えて頂きたいです!YouTubeでなかなか探せないのです。。英語でなんて入れたらでてくるのでしょう…

ドリアから始まっていて、Primum quaerite refining Dei. から歌詞が始まるやつなのですが。
もしご存知でしたら(もしくは探し方のみでも!)教えて頂けたら嬉しいです!
by ハト (2014-10-31 18:28) 

ハト

すみません、先ほどの歌詞が一部間違って変換されてしまいました。。
regnum Dei. でした!笑
by ハト (2014-10-31 18:30) 

glennmie

ハトさん、お久しぶりです。

随分マニアックなお話ですね^^
私には何とも、見当がつかないです。
そもそも録音自体あるのでしょうか。
研究用とか教育用とか、そんな感じの音源ならあるのかもしれませんが、商業録音は聞いたことがないのでネットから探すのは難しいかもしれませんね。
フランスあたりの大きな図書館とか教会の資料室には所蔵されているかもしれませんが、私にはわからないです。
お力になれず、ごめんなさい。
by glennmie (2014-11-01 02:16) 

ハト

ありがとうございました!
なんだか、何がマニアックで、何がそうでないのかよく分かっておらず、申しわけありませんでした(恥)(^^;;
そうなんですねー、一応歌詞と楽譜は載ってるので、ラテン語の読み方だけ調べて自分で歌ってみようかな、と思います!
これ歌えたらいいですよね(どこが)

ありがとうございましたー(^∀^)
by ハト (2014-11-01 12:15) 

mwainfo

「謎の音」、吾々素人にはわかりませんが、小曽根真さんの、よく知られたエピソードに、小学生のころ、どうしても違う音が一つあって、先生に尋ねると違いません、の回答でした。あとで譜面の印刷ミスであることが分かったと言います。
by mwainfo (2014-11-05 18:41) 

glennmie

mwainfoさん、コメントありがとうございます。

小曽根真さんの逸話と並んでしまうと、相当畏れ多いです。(笑)
ただ、楽譜の印刷ミスにはよく遭遇します。
版を重ねるごとに修正されていきますが、ずーっと訂正のないままの出版社とかもありますし。
楽譜も、絶対というのはないんですね。
結局、最後に頼りになるのは自分の耳と判断力なのでしょうね。
by glennmie (2014-11-06 03:35) 

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