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ハープシピアノ [Gould]

Gouldが弾くブランデンブルグ5番の全曲です。





1962年とありますから、約50年前の録音です。
ヴァイオリンはオスカー・シュムスキー。
フルートがジュリアス・ベーカー。(この人、うまい!)




私、この時の演奏が大好き。
スタジオ・ライブの熱気と緊張感が迫ってくる凄い演奏だと思います。
Gouldは指揮も兼ねた弾き振りをしていますが、彼のハミングがガンガン聴こえるし、途中からはもうオケそっちのけで自分の演奏に没頭して弾きまくっていて・・・とにかくすごいや。
いろんな意味で唯一無二の貴重な映像ですね。

このピアノが、Gouldが考案し命名した、かの有名な「ハープシピアノ」です。
Gould曰く、「自分がハープシコードだと思いこんでいる神経症的なピアノ」だそうです。
ハンマーのフェルトを剥がして金属を打ち込んだ改造ピアノ。
当時は相当評判が悪かったらしいです。
ステキな音色だと思うんですけど・・・
放送用音源の質が悪くてポソポソしてますが、実際はもっと美しい音色で響いたんじゃないでしょうか。
モダン・ピアノでは過分になってしまう要素を適度に抑えていて、尚且つピアノの良さを失っていない。
とても興味深い試みだと思います。


ここまでするなら本物のハープシコードを弾けばいいじゃない、という声が聞こえてきますが、それはちょっと違うんだと思います。
だって、チェンバロとピアノは違う楽器だから。
(実際彼はオルガンとチェンバロで録音を残していますが、それはまた別の視点からのアプローチで、別の話だと思います。)
Gouldは、あくまでもピアノ的な解釈でこの曲を演奏したかったのでしょう。


彼は、ピアノを惜しげもなくバンバン改造してしまう。
「20世紀になるのに、ピアノは旧態依然で古臭い。」と発言していたこともありました。
あくまでもピアノという楽器にこだわって、ピアノの可能性を追求していたのでしょうね。
(あの不細工なペダル・フリューゲルを弾かないでくれてよかった・・・・)


こう書いてくると、ジョン・ケージの「プリペアード・ピアノ」やラヴェルが使った「ピアノ・リュテアル」のことが思い出されます。
特に「ピアノ・リュテアル」には、とても興味があります。


           (4:22あたりからピアノ登場)

リュートのような響き。
途中で音色を変化させることができて、ピアノの音に戻したりハープのような音に変えたりしてますね。
実物を見てみたい。




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Mineosaurus

ジュリアス・ベーカーって確かニューヨークフィルでしたね。ジュリアードの教授だったと記憶しています。ちょっとユニークな演奏をする人でした。グールドと波長が合うような気がします。
指揮になっとらんですね。(笑。彼自身が指揮棒ですね。)自分一人のために左手を思い出したように振ってます。
ロ短調の出だしのピアノ!どんな用事をしていても振り向いてしまうピアノです。
by Mineosaurus (2011-03-11 17:37) 

glennmie

Mineosaurusさん、どうもありがとうございます。

さすがMineosaurusさんだ、何でも御存知ですね〜。
このフルートの方、そうなんですか。
印象的な演奏ですよね。
とてもステキだと、心に残りました。

この時のGouldは無敵ですね。
指揮とか演奏とか、そういう次元を超えていると思います。
なんだろう、彼の生演奏には霊感がある。
(ちょっとオカルトチックだけれど。)
赤ちゃんの泣き声のような、誰もが振り向いてしまう周波数が出てるんだと、そんな気がするんですよ。


by glennmie (2011-03-11 22:06) 

glennmie

xml_xslさん、nice!ありがとうございます。

by glennmie (2011-03-12 20:00) 

glennmie

tamanossimoさん、ご無事で?
よかった・・・nice!ありがとうございます。
by glennmie (2011-03-12 20:02) 

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