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ヘ音記号が苦手な方へ [音楽雑感]

巷で流れている曲を聴いて、「素敵な曲だなー、今度弾いてみたい!」などと思って、楽譜を見てみると、シャープやフラットがたくさんついていて、「ゲッ!!真っ黒!むずかしそー・・・やっぱり、やめた!」とあきらめてしまった、という話をよく聞きます。

で、ピアノの先生に相談すると、「音階はどこから弾いても均等なのだから、フラットやシャープがついていても同じ。黒鍵が難しいわけではないのよ。」と言われた、という話もよく聞きます。

そうかなぁ・・・私、同じじゃないと思います。
黒鍵を多く使う曲は、難しいと思います。
だって、黒鍵って、高い位置にあって、細くて、すべりやすくて、なのにひとつでもはずすと、あ~~~!!ってわかるくらいに、はっきりと悲惨じゃないですか。
リストの超絶技巧をバリバリ弾いている人を見ると、上海雑技団なみに凄い!と心から思います。
一方、麗しのショパンは、黒鍵と白鍵の位置関係を効果的に利用して、キラキラと細かい装飾音を作ったそうですよ。

でも、なんだかんだ言っても、やっぱりピアノは、白鍵盤のハ長調を基準につくられているんですよね。
だって、鍵盤のど真ん中は「ド」じゃないですか。
見た目も、黒鍵は黒くて、いかにもヤバそうな顔してるし・・・・差別されてる。
ハ長調が、白のイメージとか、調性格が、純粋、純真と言われるのは、この白鍵の見た目から来てるんじゃないの?という気もします。

で、本題です。
ピアノの譜面、いわゆる大譜表と呼ばれる五線は、ピアノの鍵盤自体を、実はとっても合理的に機能的に、しかも視覚的に、記号化したものだということを言いたいのです。
よく、ヘ音記号が読めなくて・・・という方がいらっしゃいますが、そういう方にはいつも、この話をして説明します。

中央のドは、ト音記号の楽譜からも、ヘ音記号の楽譜からもはみでた加線の音ですよね。
しかも大譜表のど真ん中に位置していて、この位置で、どこにも属さず、単体で、これは「ド」なのです。
このドから、左右対称に音が進んで行き、高い音はト音記号のほうへ、低い音はヘ音記号のほうへ属するわけです。
何故、左右対称なのかって、両手を広げると対称の形になるからです。

中央のドに右手の親指を乗せると、小指は5つめの音、「ソ」のところにきますね。ここが、ト音記号の出発点になるのですよ。楽典でいうところのドミナントです。
ソの音は日本名で「ト」、アルファベットでは「g 」、ト音記号の書き始めは「ソ」の位置からですよね。この記号、gに見えませんか?
つまり、この五線は下から二番目の線を「g 」としますよ、というマークなのです。
同様に左手の親指を中央のドに乗せると、五番目の小指は「ファ」の音、楽典でいうサブドミナント。日本名で「ヘ」、アルファベットで「f 」。
fのマークは、やはり上から二本目の線から書き始めます。
この「ド~ファ」、「ソ~ド」の関係は、古代ギリシャのテトラコードという4弦の竪琴を二種類並べて7音の音階を作ったことに由来するそうです。なので、ドとファとソが基点となるわけですね。が、これはまた別のお話でした。

とにかく、中央のドをはさんで、左右対称に5つ目の音が、二本目の線に乗るように設定されたわけです。
さらに進むと、オクターブ上のドは、上から二つ目の隙間に、オクターブ下のドは、下から二つ目の隙間に、ぴったり対称の形でおさまります。
スバラシイ!どなたの発案か知りませんが、すごい頭いい!

ゆえに、ピアノの楽譜は、縦に置いて、中央のドをはさんで、左右対称に読んで見ると、諸々いろんなことがすごくよくわかります。
私はいつも曲を初見する時に、いきなり鍵盤に向かわないで、楽譜を縦に置いてじっくり見ながら、指を動かして頭の中で音楽を鳴らしてみるようにしています。
この角度で楽譜を見るのは、実際に鍵盤を見るのと同じだからです。
テーブルの上で指をたたけば、ミスタッチもないし、ミスに対するストレスも出ないから、曲の全体像を把握するのに丁度いいです。

私、楽譜だけじゃなく、いろんなものをいろんな向きで見るのが日常です。
先日、車の助手席で、ナビをしながら地図をいろんな向きにクルクルまわしていたら、地図は回さない!固定位置で地図も読めなくてどうする!と怒られてしまった・・・・

なので、この譜読みの方法は、誰にでも有効ではないかもしれませんね・・・・
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gezkaz

Glennmieさん、こんにちはー。

私、もう、目からウロコが落ちました! 楽譜をタテに見る! ほんと、ほんとですね、なんて賢くできてるんでしょうか。理論で、ドミナントとサブドミナント、メディエントとサブメディエントの位置の関係について教えてもらったとき以来の感動です~! すごいー、ほんとですね。

そういえば、この地図をくるくる回すのって、日本人の特徴なのかもしれないですよ? 私も、自分中心に見ながらくるくるまわします。そんな感じで地図を見ていて、人に道を尋ねると、「あなたサカサマに地図を見てるから迷うのよ」ってまことしやかに、ほらっ、この向きでしょ、って直されたり。ちがうのに・・・!

日本の地図って、駅前の地図でも意外と北が上じゃなくて地図を見ている人の目線で書かれていて、へんな位置に北があったりするんですよね。これって、イギリスではありえないことみたいなんです。
「北は上だろう~!」と、うちの夫、よく叫んでいます、日本に帰ると・・・。
by gezkaz (2009-10-01 19:30) 

glennmie

gezkazさん。

こんにちは!

本当に、西洋音楽の原理って、よくできてるし、興味が尽きません。
耳で聴くだけでもすばらしいし、学問としてとらえても、こんなにおもしろいものはないです。
gezkazさんに、共に感動してもらえて、うれしいです!
ヨーロッパの人の合理主義って、ファジーな日本人から見ると、すごいものがありますよね。

そう、ロンドンで道に迷うことって、滅多にないですよね。街がきちんと幾何学的に区画されてるし、小さい通りにも名前がついていてわかりやすい。
お国柄なんでしょうね~。
街の地図を一目するだけで、その国の気質みたいなものもわかりますよね。
ウチの周りの地図見ても、私、自分の家の場所、わかんないです。
by glennmie (2009-10-02 02:17) 

とほ

楽譜はそのまま鍵盤につながっているんですね。ピアノを練習し始めて半年なのですが、いつか音符を見たらすぐに鍵盤のキーの位置がイメージできたらいいなと思っています。
by とほ (2009-10-04 18:55) 

glennmie

とほさん、こんばんは!

鍵盤を自由にあやつれたら・・・イメージ通りに指が動いたら・・・それは皆の願望ですね。

ベトナム人のピアニスト、ダン・タイソンさんは、戦争中に防空壕で、紙鍵盤を使ってピアノの練習をして、ショパンコンクールで優勝したんだそうですよ。
イメージトレーニングって大事だな、と思います。

理想となるイメージを持っていれば、きっと近づける・・・そう信じて、私も練習を楽しんでいます。
by glennmie (2009-10-04 20:08) 

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