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The well tempered Clavichord [音楽雑感]

kotenさんのお宅にお邪魔して、
新品のクラヴィコードを見せていただきました。





とても綺麗で可愛らしい。

写真3.JPG





調律はkotenさんがご自分で。
キルンベルガーⅢでしたっけ??、あっⅡでしたっけ????(汗)

写真2.JPG




鍵盤はこんな感じ。
黒鍵がとても短いので、慣れるまで少しかかりました。

写真.JPG




とても美しい音色で、上手に弾けたらどんなに素晴らしかったかな。




クラヴィコードは音がとても小さいとよく言われますが、どうでしょうか。
石造りのヨーロッパのお部屋で、外に車も走らない静かな環境の中、
繊細なこの楽器の音は、これはこれで十分だったのでは、と思いました。



kotenさんがアンサンブル用の楽譜をいくつか用意してくださっていたので、
彼のギター演奏で合わせていただきました。




Rossignol というルネッサンス期の曲だそうです。
ロシニョールはフランス語でナイチンゲールという鳥のことだそうです。
作曲者は・・・誰でしたっけ[あせあせ(飛び散る汗)]


こちらは、グリーン・スリーヴス。
ギターとクラヴィコードの音色は案外相性がいいのかもしれませんね。




貴重な経験をさせていただきまして、kotenさん、どうもありがとうございました。









220px-Gerard_Dou,_Woman_at_the_Clavicord.jpg























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HAPPY NEW YEAR 2013 [音楽雑感]



tubaki_6.jpg









新年、明けましておめでとうございます。
今年もどうぞ宜しくお願いいたします。





今年も、やりたいことが沢山あります。
弾きたい曲もたくさん。
どこまでできるかわかりませんが、楽しく音楽を学んでいきたいと思っています。
皆さんも、素敵な良い年をお迎えください。









今日、朝起きたらこの曲が流れていました。
新年一番に聴く曲。
幸先が良いです^^











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Campus stellae (4) [音楽雑感]

10歳の誕生日のプレゼントは、Glenn Gouldのデビュー・アルバムでした。
その音を聴いて、世界が激変しました。
キラキラと輝く音の粒が跳躍したり追いかけっこをしながら目の前を駆け抜けてゆく、
その不思議な世界にすっかり魅了されたんです。

それまでの自分の閉塞的な生活が、息をし始めたように思いました。
周りのすべてのことに馴染めず、理解できず、息を殺してじっとしていた自分の生活に
新鮮な空気が流れ込んできた!その感覚は今でも忘れていません。


当時、ピアノの練習はひたすら退屈で、厳しい先生のレッスンはただただ苦行。



gould.jpg
この人は、何故こんなに楽しげにピアノを弾いているのだろう・・・
こんなに夢中になれる「音楽」ってなんだろう・・・
音楽の秘密を知りたくなりました。



「音楽すること」の本当の意味をGouldが教えてくれました。


それからずっと、ずっとずーっと、私はその憧れと幻影をただひたすら追いかけてきました。






今から3年と少し前に、このブログをはじめました。
最初は自分の演奏を客観的に、少し離れたところから聴いてみたいという単純な好奇心だけでした。
でもその効果は、想像もつかないものでした。
世界は広くて大きくて、凄い。
沢山の方から、とても素晴らしいアドバイスやコメントをいただき、賢い知識を分けていただきました。
それまで、自分の部屋の小さな空間で充足していた私の音楽の世界の前に、息を呑むほど広大で、深遠で、果てしない音楽の宇宙が開けてきました。
私は、今、その入り口に立って呆然とその景色を眺めている状態です。




今回のコンサートは、一つの道標にしたいと思っていました。
今の自分にできる最善のことをしておきたい、と思いました。
雨の中、聴きにいらしてくださった方々、ブログの記事に励ましや暖かい言葉をくださった方々、
本当にありがとうございました。m(_ _)m

乗り越えなければならない課題や、さらに新たな課題を沢山抱え込む結果になりましたが、
もっと頑張ろう、と新たな決意もできました。
こんな私の演奏に暖かい拍手をおくってくださって、皆さんホントにいい人だ。
大殺界だの天中殺だの言っていた自分が恥ずかしいです。



自分の周りの全ての人、全ての事に、今は、ひたすら感謝しています。
どうもありがとうございました。











Campus stellae ・・・・私の脳裏に、確かに星は降ってきました。

















merry_2.jpg

























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アルフレート・ブレンデル 2008 [音楽雑感]

私の職場は渋谷にあるのですが、
私はこの街がホントに嫌いです。通勤が苦痛で仕方がない。

雑多で美しくない街並み、人混み、朝から夜まで変化のないヒステリックな騒音・・・・
自分の都合だけに没頭し突進するマナーの悪い人々。
耳にはイヤホン、手にはスマートフォン、真っ直ぐ歩かない人々はお互いにぶつかっても
あやまらない。

最近、特にひどくなりましたねと言ったら、
先日ヨーロッパから帰国したばかりの調律師さんが、
いや、あちらも似たようなものですよ、と仰っていました。


人間の質の変化は世界レベルなのでしょうか。
歴史を勉強していてよく思うことなのですが、
20世紀の2つの世界大戦は、計り知れない犠牲を払ってしまった。
地球にも、人間にも。
大戦以降に生み出されたものは、思想も芸術も重く、暗く、冷酷だ。





「Art of Piano」というDVDがありますね。
ご覧になった方は多いと思いますが、本当にビックリします。
20世紀の100年間にこんなに沢山の「素晴らしい人」がいたんだなぁ・・・と。
フィッシャー、コルトー、バックハウス、ホロヴィッツ、ミケランジェリ、ルービンシュタイン・・・・・
まさに偉大なピアニストのラッシュです。
そして、皆去っていってしまった。
世紀を跨いで活躍していた方々も次々にこの世を去り、現場を離れ、
昔の良き時代の香りのするピアニストは、いなくなりつつあります。
21世紀版「Art of Piano」には、これからどんな人が名前を載せていくのでしょうか。


art_piano-546x442.jpg





数年前にステージを降りて後進の育成に余生を送る決心をなさったブレンデルさんの、ステキな動画を見つけました。
フランスのTV番組なのでフランス語の吹き替えが入ってしまい、フランス語がわからない私にはそこがちょっと残念なのですが、それでも沢山のことが伝わってきます。
丁度引退を宣言した直後のブレンデルさんと、彼にピアノを習う少年(見た限りでは、中国系のアメリカ人のようです)のドキュメンタリーです。
(調べてみましたら、ブレンデルさんはGouldよりも年上なんですね。驚きました。)







ヨーロッパの田舎の景色と、穏やかな静けさに心を奪われます。
小さな教会でリストの巡礼の年を演奏するブレンデル。(16:30あたりから)
その幻想的で美しい演奏は、ちょっと忘れがたいですね。
一方、これから世に出て行くであろう才能豊かなこの少年は、都会の近代的な大ホールで経験を積んでいきます。
彼の幼少の頃のビデオが凄いですよ。(48:15ころから)
ブレンデルの指導の下、奢ることなく誠実に音楽と向き合っているこの少年のひたむきな感じもとてもいいです。
ゆとりを持ちながらステージを降り、美しい環境の中で後進の育成に心を配るブレンデルさんの人生はとても素晴らしいな、と感動しました。






渋谷の雑踏の中で、果たしてこんな美しい音楽や心が育つかな・・・・









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Campus stellae (3) [音楽雑感]

「ゲシュタルト崩壊」というらしい。

前回の記事で書いたこと・・・練習するほどに崩壊していく自分の演奏について、漢字をじーっと見てると訳がわからなくなっていくのに似ていると書きましたが、
こういう現象を心理学では「ゲシュタルト崩壊」というらしいです。


細部にこだわって疑問を感じていると、全体そのものの意味がわからなくなっていく。
自身のあることに疑問を感じると、自分自身のアイデンティティーすら曖昧になってしまう。
様々な場面で、まぁ、よくあることだとは思いますが、
「崩壊」を招いてしまうわけですから、負のパワー。
そこから何かが生まれてくるとはとても思えない。
抜け出す道はあるの?


以前読んでいたGouldのインタビューで、彼が、練習の時には大きな音でラジオを流したり掃除機のスイッチを入れたままにしていた、と言っていたのを思い出します。
自分の中のイメージと実際に出てくる楽器の音の間に一種のフィルターをかけていたわけですね。
ピアノを弾きながら大きな声で歌うのも、同じ理由からきているのかもしれない。


試してみるか・・・・
いや、ウチの洗濯機や掃除機は静音設計だから使い物にならない。
電化製品の進歩がこんなところでアダになるとは・・・・



職場でこんなことをブツクサのたまっていたら、いろんな意見をいただきました。

[大御所のピアノの先生から言われたこと]

演奏で迷うなんて、ただただ練習不足です!
地道な練習を積み重ねていけば、弾けないものなどありません。
練習の仕方が悪いからあれこれ迷うんです。
きちんと方向性を定めてから曲に取り掛からないから崩壊するんです。
ステージの上で考えながら弾くなんて、言語道断です。
何も考えなくても手が動いてくれるようになるまで練習をしないと自分の演奏にはなりません。



[同僚のオルガン奏者から言われたこと]

演奏で迷うなんて、一生続いていくことだよ。
ここで完成、なんて線引きはできない。生きている限り迷い続けるよ。
演奏する時はいつも、これが今の自分の最善だと割り切って演奏している。
でも、それも変わるよ。
ステージで何が一番怖い?
私は、●●さんて凄いね、とか大した事ないねとか、そう思われることを気にしてしまう自分が怖い。
自分の役目は音楽の素晴らしさを伝えることであって、自分の凄さを見せることではない、といつも自分に言い聞かせているよ。
そうしないと、あがって失敗するから。













さて、
当日のプログラムはまだ出来ていないのですが(ま、まだなのかい!!)
曲目は決まりました。
出演者は3名です。(1名はハープ奏者です)

Harp
・パッサカリア(ヘンデル)
・森の中の泉の方へ(トゥルニエ)
・白鳥(サンサーンス)
・スパニッシュ・ダンス(ファリャ)
・小協奏曲(ピエルネ)

Piano(マンデラさん)
・ソナチネ Op.67-1(シベリウス)
・樅の木(シベリウス)
・粉雪(パルムグレン)
・夜のおとぎ話(セヴラック)

Piano(glennmie)
・幻想曲とフーガ BWV904
・半音階的幻想曲とフーガ BWV903
・パルティータ 第6番 ホ短調 BWV830




こんな感じなのね~music_cat.gif





















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Campus stellae (2) [音楽雑感]

自分は元来、とっても占いを信じるタチなのですが、
今年私は、所謂、「大殺界」という年回りにあたるらしい。
中国占術でいう「天中殺」、「空亡」というやつですね。
実に悪い年回りなんですよ・・・


この夏あたりまでは特に何事もなく、平穏な日々が続いていたのですが、
ここ最近、なんだか怪しい雲行きに。。。

先月は足の指を骨折してしまうし、その後風邪をひいたり、
とにかく体調不良が続いています。
そう言えば、前回のコンサートの前もイスから落下して手首を捻挫したんだった。。。



「ステージの前になると整形外科のお世話になる」パターンが定着したな~。


こんな時はジタバタしても仕方がないので、鍵盤には向かわず、相も変わらず、
片手にペン、片手にガリガリくんの定番スタイルで楽譜とにらめっこをしています。


今勉強しているのは,パルティータの6番、ホ短調です。
大好きな曲で、年末に演奏しようと思っています。
いろいろな楽譜を見比べてみたり、和声を分析してみたり、運指や装飾音をあれこれ考える作業
はとても楽しいです^^


そして、なんとか少し構想が掴めたので、ちょこっと弾いてみました。
いや~、ホント、いい曲だ。





自分の演奏が定着するまで、なるべく他の人のCDとかは聴かないようにしているのですが、
やっぱり知りたくなって、GouldのDVDを見てしまった・・・
見なきゃよかった・・・


このDVDはお気に入りで、GouldのDVDの中で一番好きなものなので、
以前はとても頻繁に観ていたのですが、
こうして改めて観て見ると、その凄さに圧倒されます。
曲を知れば知るほど、彼の凄さがよくわかって、
そして、Bachの偉大さが目の前に立ちはだかってくる。




全く個人的な意見なのですが、
ホ短調って、ギターの調、というイメージがあります。
ギターの開放弦と同じだからだと思うのですが、
ギターやリュートの響きが頭の中で鳴るんです。
このホ短調のパルティータは、私の中では、リュートの響きで鳴るんですよね。

GouldのDVDを観て、最初にうわ~、と思ったのはそこでした。
以前はそんなこと意識もせずに見ていて、気がつかなかった私もマヌケですが、
この弾き方、和音の崩し方、この音色(多分マイクの選び方)・・・
片手に紅茶、片手にガリガリくんを持ったまま画面に釘付けになってしまいました。









この世にはこの動画があれば、それでもういいじゃん。
自分が敢えて演奏する意味がわからなくなる。


友人とそんな話をしていたら、彼女に言われました。
「ウチの母親がスイミングに通っているんだけどさ、この前のオリンピックの
北島 康介のタイムを見て、私は・・・って落ち込んでたよ。
笑っちゃうけどさ、キミの話はそれと一緒。」
なるほどね^^




そんなこんなで、コンサートの準備は遅々として進まず、
ようやくチラシができあがりました。


campus stellae jpg.jpg

(クリックで拡大します)


コメントをくださった方々、ありがとうございました。
見難いかもしれませんが、こちらが会場の地図です。

map_doujin.jpg


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Campus stellae (1) [音楽雑感]

郵便局の前を通りかかったら、「喪中ハガキの印刷を承ります」という看板をみかけました。
もう、そんな時期になるんですね。
お庭で蚊に刺されたりしているのに、季節は確実に年末に向かっているんですね。


年末・・・・


今年の末に予定しているコンサート。
まだまだ先だと思っているうちに、もうこんな時期になってしまった。
どうする!glennmie!!



大方の予想通りに、私は今現在、やはり、勿論行き詰っています。
練習すればするほど、ますますラビリンス。
出口はあるのか???
自分を鼓舞する意味で、コンサートまでの成り行きを記事にまとめることにしました。




この記事のタイトル「Campus stellae 」は、コンサートのタイトルです。
ラテン語で、「星降る野」。
クリスマス期の教会コンサートに良いかな、と思ったので。


日程と場所とタイトルは決まったのですが、肝心の演奏が・・・・
先日、この前の日曜日ですが、内輪だけのとても小さな音楽会がありました。
そこでも私は、ズタボロ・・・ボロボロ・・・オンボロ演奏を披露してしまい、ますます落ち込んでいます。



周りの皆からいろんな助言をいただきました。

① みなぎりすぎるのは、よろしくない。

「キミは力みすぎだよ、力が入りすぎだから暗譜がとんだりするんだ。」
「わかってる。でも、力みすぎても弾けないと、弾けたことにはならないじゃない。体に力が入るのと暗譜が怪しくなるのは関係ないんじゃない?」
「いや、そんなことはない。パソコンをみてみなよ。動かしすぎるとフリーズしちゃうじゃない。何でも過多になると脳が停止しちゃうんだ。」

そうか・・・焦げちゃうのを防止するために脳がストップをかけちゃうのか。


② 弾きすぎはよろしくない。

一つの漢字をじーーーっと見てると、これでいいんだっけ?となんだか怪しくなってくるのに似ている。
もっとイメージの中で曲と向き合わなければいけないんですよね。
まさしく今の私は、Bachが嫌う「クラヴィア・リッター」になっているんだなぁ・・・・
最初に曲を弾いた時の感動を忘れてはいけない、わかってはいるんだけど。



③ 集中力が足らない。

最近、どんどん足らなくなってる。
お魚を食べるといいのかな~。
剣道とか、滝修行とか効くのかなぁ。
我を忘れてレゴ・ブロックをやっていた子供時代が懐かしい。



職場で、プロのピアニストの方と話し合う場があって、その時にどなたかが、ステージで失敗しないためにはどうすればいいのですか?と質問していました。
そうしたら、真っ赤になられて、
「それはキミ、古今東西永遠の課題だよ。答えがあるなら僕が知りたい。ただ一つだけ言える事は、ステージの上の演奏が自分の身の丈、本当の実力だ。家では弾けていたのにと言うなら、家で弾けたことがマグレだと思ったほうがいい。」
と仰っていました。
「僕がこだわっているのは運指です。絶対にはずさない運指を見つけることだ。」
とも仰っていました。


その運指がわかってても出てこなくなるんだ・・・・私・・・・。
わざとみたいに違う指がでてきたりしてしまうの。
コントロールできなさすぎは、脳細胞が足らないからかなぁ・・・



で、ぐずぐずになって停止状態の私の横で、
共演してくれるマンデラ(自称)さんは、着々と業務をこなしてくれています。
ほとんど実務は彼女に丸投げの私。
またしても役立たずで、情けないのですが・・・
先ほど、彼女からメールをもらいました。

「依頼していたチラシの原画ができあがったよ。」



こんな感じ。


写真.JPG










「Campus stellae 」ならず、「Compositum 」(墓場)になってしまったらどうしよう。






ここで思い出すのは、再び、ブラームスのあの言葉です。
「ステージを楽しめないのなら、ステージに上がるべきではない。」
そう、その通りですね。
自分の身の丈の音楽を皆さんと共有したい、という気持ちを持っていなければ、
人前で演奏する意味がないわけですから。
さて、どう乗り切っていけばいいのやら・・・







現在の進捗状況は、こんな感じです。










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A♭とG♯ [音楽雑感]

現在、Bach の「クロマティック・ファンタジー」を勉強中です。
と言うか、
勉強しようと取り組んだ、その姿勢のまま何日かフリーズしています。





この曲、よくわからん・・・・





片手にペン、片手にガリガリ君を持ったまま譜面の前で硬直状態が何日か続いています。
見れば見るほど、わからなくなっていきます。
私の乏しい頭では、この曲を理解することはできないのだろう、ということはわかりましたが。



最大の疑問は、「Bachが何故、半音階の前奏曲を書こうとしたのか」、ということです。
この、一見アド・リブのような半音階のパッセージの羅列の中に、
どのような意図が隠されているのだろうか。


分析してみると、凄い複雑です。
転調とエンハーモニックなコードの置き換えが渦巻いていて、
ワーグナーも真っ青な神秘の世界。
(当時、この曲を真に理解できた人はいたのだろうか。。。)




この曲をピアノでそのまま弾くと、なんと言うか、
簡単に素晴らしくなってしまうんです。
ヴィルトゥオーゾ的でドラマティックで。
ペダル効果を利かせて演出効果を上げれば、誰でも容易にフランツ・リストになれてしまう。
でも、勿論Bachの意図はそんなところにはないのであって。


いろいろなエディションも見てみましたよ。
でも、例えばビューロー版とかブゾーニ版とかは、ピアノの劇的効果をもっと持ち上げるような
演出がしてあって、Bachの本質からはさらに遠ざかっているように思えます。


持っているレコードやCDをいろいろ聴き比べてみても、
やはりよくわからない・・・・
唯一参考になったのは、やっぱりね[揺れるハート]
Gouldの演奏です。
彼は、この曲が大嫌い!と公言していて、デフォルメのような録音を残しています。
そこに何かのヒントがあるに違いない、と思っています。





そしてもう一つ、手がかりになるようなレコードを見つけました。
ミケランジェロ・ロッシのトッカータNo.7です。
ちょっとこの部分を聴いてみてください。



気持ち悪いでしょ~^^
平均律に慣れてしまった耳には、不気味な響きにしか聞こえないです。
解説によると、1/4コンマ中全音律のハープシコードによる・・・と書いてあります。

不等分音律では、半音階の中の半音の大きさは同じではない。
A♭とG♯、D♭とC♯は同じ音ではないのですよね。
古典調律の世界には、異名同音はないということなのでしょうか。
♯が♭より低くなるという現象も起きてくるから、このような響きが生まれてくるんですね。


現代の私たちは、楽譜の中に半音階のパッセージを見ると無条件に均一で流れるような、
流麗な響きをイメージしてしまいますが、
少なくともこの時代の音楽には、そんなイメージは通用しないということですね。
ロッシはこの奇怪な半音階の響きを意図して作曲したわけですから、譜面どおりのイメージで
スルスル~とピアノで弾いてしまっては間違いだ、ということになるのでしょう。


勿論、Bachの時代は修正ミーントーンの時代だから、ここまで歪な響きにはならないのでしょうが。
平均律のセバスチャン(私のピアノ)でこの曲を弾くためには、何をしたらよいのかな・・・・・






Gouldは、クロマティック・ファンタジーは"monstrosity"だと言っていました。
彼はこの曲に何をみつけたのかな。
もうじきお誕生日ですね、ちょこっと戻ってきて教えて欲しいな~。

















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BachのOp.1 [音楽雑感]

Bachは、存命中に4巻からなるクラヴィア曲集を出版しています。

第1巻・・・6曲のパルティータ
第2巻・・・イタリア協奏曲とフランス風序曲
第3巻・・・ドイツ・オルガン・ミサ
第4巻・・・ゴールドベルク変奏曲


これらの初版本はBach自身がチェックを入れていることから、出版譜の中では最も信用できる楽譜と言えるでしょうね。

現在はIMSLPなどの楽譜サイトでも閲覧できますが、ちゃんと自分で持っていたかったのです。
で、購入してみました。
今はオン・デマンド販売で簡単に輸入できる時代になったのね~[揺れるハート]
今回は、第1巻のパルティータと2巻のイタリア協奏曲&フランス風序曲をゲットしました。


こちらがパルティータの表紙です。

写真14.JPG

当時のハープシコードの譜面台に合わせた、横開きのコンパクトなサイズです。
そこに燦然と輝くOp.1の文字。
Bachのオーパス・ワンはパルティータなんですね!
なんか感動する・・・


印刷と言っても当時はまだ銅版印刷の時代ですから、ほとんど手書き譜と同じ。
まあ、見やすいとはいえないですね・・・

写真99.JPG


でも、不思議と弾きやすい。
というか、曲のニュアンスが伝わりやすいと思うんです。
どう弾けばいいのか、譜面が教えてくれる。

例えば、これは4番の序曲。
写真111.JPG

この上昇音型に、ぐっときませんか?




Bachの指示通りだと思うのですが、譜のレイアウトもとてもいいです。
2番のアルマンド
写真3.JPG

そしてクーラント
写真2.JPG

クーラントにすぐ続いてサラバンド
写真13.JPG

組曲の根幹に流れる統一性と、さらにはその多様性がパッと目に飛び込んできます。
当時の出版譜は凄いな。




こちらは、第2巻のイタリア協奏曲です。
写真.JPG

協奏曲の譜面に倣って縦型になっています。
元の表紙はこんな感じ。

写真133.JPG

とっても綺麗な手書き文字ですね。
手作り感がいっぱいで大切にしたくなります。

こちらは、子供の頃に使っていた私の楽譜。

写真00.JPG

ペータースのNo.4464
随分古いです。
今は改訂が進んでかなり良くなったらしいですが、この版はダメですね・・・
初版本と比べてみるとそれがよくわかります。
この楽譜で育ってしまったのよ、もう、どうしてくれるの・・・


のっけから、最初の和音から、違うじゃない[パンチ]


こちらは初版

写真3333.JPG

左手の和音の棒、符幹が上と下に分かれていますね。
続く4分休符は2つ。
次のフレーズもテノール記号とバス記号で分けてあります。
左ははじめから2声。
この曲は全て4声体で書かれているんですよね。


これは私の楽譜

写真15.JPG

4つの音が一本の棒でお団子にされています。
つまり4つの音は同じ声部という解釈になり・・・ダメじゃん・・・Urtext じゃないじゃん・・・

現在のペータースは改訂されているらしいですが、これと同じ書き方の楽譜を今でもよく見かけます。
何故、敢えて変えてしまうのだろうか。
そこが知りたい。






当時の楽譜はとてもシンプル。
現代譜のように細かい指示はないけれども、でも、音符の大きさとか装飾音符の書き方とか連鉤の形とか、微妙な書き方の違いが音のニュアンスを饒舌に伝えてくれます。
今の印刷では表現できない、手書きならではの世界ですね。
この初版を使って、当時の人々のようにもう一度勉強しなおしてみようと思っています。






オマケ[犬]

こんな凄いワンコたちを発見。
あやかりたい・・・・


















タグ:楽譜
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NATURAL [音楽雑感]






この演奏の意味がわからない。
何故グルダは、こんなビヨンビヨンなクラヴィコードで演奏するの?
演奏者の映像がなくて音源だけだったら、それでも皆は素晴らしいと言うのだろうか。
この動画の下に、以前彼のコンサートへ行かれた方の面白いコメントがありました。
「コンサート中に、グルダはズボンを脱いで裸で40分踊り続けた。
ホールの客が半分に減ってしまうと、彼は本当のコンサートを始めた。
モーツァルトとベートーヴェンのソナタを全曲、一晩で弾いたのです。」



( ̄▽ ̄;)アハハ…



反骨の人。



子供の頃から、家にはグルダのレコードがごっちゃりありました。
彼のモーツァルトやベートーヴェンを繰り返し聴かされて育ちました。
とても、とても素晴らしい音楽家だと思います。
でも、
さあ、勉強するぞ!と、楽譜と鉛筆を構えてその演奏を聴くと、むなしい。
彼の音は、私の上空の遥かかなたを駆け抜けていってしまうんです。
取り付く島がないとは、まさにこのことを言うんだなぁ。




でも、大好きですよ。
私が、グルダから教えてもらったこと。
それはね、
音楽はどこからくるの?という疑問に本当の答えをくれたこと。


こんなふうにね。





















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