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Anton Webern: Variations for Piano, Op.27 [Gould]

「私は、カナダの放送作家、作曲家、ブロードキャスター・・・・暇な時にピアノを弾きます。」

これは、Gouldの自己紹介文です。


「僕はピアニストじゃない。」
Gouldは、ピアニストと紹介されるのを、嫌っていました。


では、Glenn Gouldはピアニストではないのですか?


いや、やはり彼は最初から最後まで、ピアニストだったんだと思います。

それも、とびきりの。

唯一無二の。

・・・・もちろん、ただのピアニストなんかじゃない・・・・



数あるGouldのDVDの中で、私が最も好きなのは、ブルーノ・モンサンジョン製作の、”THE ALCHEMIST ”です。(いろいろな意味で、真のGouldはこの中にいると思っています。)
その中で、最も好きなシーンがこれです。





ウェーベルンの変奏曲を弾くGould。
初めてこの映像を見たときには、衝撃で目が釘付けになりました。

数字と記号の羅列のように難解なセリー音楽を、まるで舞曲を弾くように、軽々と演奏する彼の姿。
必見は、その手の動きです。

彼の全ての思考回路を、左手が担っているのがよくわかります。
左手が、指揮者のように、ピアノも、空間も、時間もコントロールしているのです。
独特の時間感覚と、空間の捉え方。

キーを打鍵するまでの空間を舞う腕の動きも音楽の一部として機能しています。
空中にある時の、彼の左手の動きをよく見てください。

鍵盤を打鍵することは勿論、ハンマーが弦を打った後の、音の行く末までも、彼はコントロールしています。

そして、彼の命ずる通りに、音は伸びたり、切れたり、彼方まで飛んでいきます。


これを、単に、天才のなせる技、と片付けてしまうのはあまりに安易な・・・・


こんな映像を残して、さっさと旅立ってしまった彼の後に、私たちは、ただ、ただ、呆然と立ち尽くすのみ、です。



「僕は、ピアニストじゃない。」・・・・・・・・・・・はい、私にとって、あなたは神様です。


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