ダウランドのラビリンス [音楽雑感]
「聖ペテロのように水の上を歩けると信じて与えられたピアノを弾けばよい。そうでないと沈んでしまう。ピアノが好きではないのかと聞かれたら、ピアノより音楽の方が好きだと答える」
・・・・・リヒテルの言葉
クラウディオ・アラウさんが、コンサート会場のピアノを試弾して当日のプログラムを変更した、という記事を読んだことがあります。
当日演奏する予定だったベートーヴェンのソナタ、”ワルトシュタイン”の3楽章のオクターヴ・グリッサンドが会場のピアノではできない、と判断したからだそうです。
ピアニストは、ここが辛いところですね。
自分の楽器でステージに上がることができないから。
オルガン奏者の友人がいるのですが、オルガンはいろいろ違うから、演奏するオルガンを見てからレジストレーションをその場で決めなければいけない、と言っていて、たいへんなんだなぁ・・・と思いました。
オルガンほどではないですが、ピアノもいろいろ。
自分の家でいつもセバスチャン(私のピアノ)にしがみついている私ですが、よそで弾く時は、やはり見知らぬピアノにしがみつかなければならず、なんだか知らないおじさんにしがみつくような感じで、いやなんです。
自分の楽器といつも一緒にいられるって、いいですね。
楽屋でとても愛しそうにヴァイオリンを拭いている人とか見ると、いいなぁ~と思う。
いつも親友と一緒。
随分前に「王は踊る」という映画を観たんですが、作曲家のリュリがポシェットと呼ばれる小さなヴァイオリンをいつも背負っていて、何かあるとササッと取り出して奏でるんです。
それが、すごくかっこよかった。
「いつも一緒」の筆頭は、私の中ではリュート。
リュートは、いつも肩に担いで颯爽と歩く吟遊詩人のイメージに結びついて、とても素敵。
喜びや悲しみの心を一緒に歌って歩く楽器・・・・シロウトの勝手な思い込みですが。
イギリスの小さな町の小さな美術館で時間を潰していたとき、遠くの方から夢のような天国のような響きが聴こえてきて、何だろうと行ってみたら、小部屋で一人の若者がリュートを弾いていました。
館内にはほとんど人がいなくて、ストーブの音と曇った窓と冬の匂いだけで、私は床にペタっと座って、ずーーーっと聴き入っていました。
何年か前に、スティングがリュートのアルバムを出しました。
ジョン・ダウランドの作品集「Songs from the Labyrinth 」
ダウランドとリュートは、イギリスにいた頃の自分の記憶と鮮明に結びついています。
17世紀のダウランドの音楽と歌の心は、その後のビートルズやイエスやボノなどに脈々と受け継がれてきたんだな・・・と実感します。
・・・・・リヒテルの言葉
クラウディオ・アラウさんが、コンサート会場のピアノを試弾して当日のプログラムを変更した、という記事を読んだことがあります。
当日演奏する予定だったベートーヴェンのソナタ、”ワルトシュタイン”の3楽章のオクターヴ・グリッサンドが会場のピアノではできない、と判断したからだそうです。
ピアニストは、ここが辛いところですね。
自分の楽器でステージに上がることができないから。
オルガン奏者の友人がいるのですが、オルガンはいろいろ違うから、演奏するオルガンを見てからレジストレーションをその場で決めなければいけない、と言っていて、たいへんなんだなぁ・・・と思いました。
オルガンほどではないですが、ピアノもいろいろ。
自分の家でいつもセバスチャン(私のピアノ)にしがみついている私ですが、よそで弾く時は、やはり見知らぬピアノにしがみつかなければならず、なんだか知らないおじさんにしがみつくような感じで、いやなんです。
自分の楽器といつも一緒にいられるって、いいですね。
楽屋でとても愛しそうにヴァイオリンを拭いている人とか見ると、いいなぁ~と思う。
いつも親友と一緒。
随分前に「王は踊る」という映画を観たんですが、作曲家のリュリがポシェットと呼ばれる小さなヴァイオリンをいつも背負っていて、何かあるとササッと取り出して奏でるんです。
それが、すごくかっこよかった。
「いつも一緒」の筆頭は、私の中ではリュート。
リュートは、いつも肩に担いで颯爽と歩く吟遊詩人のイメージに結びついて、とても素敵。
喜びや悲しみの心を一緒に歌って歩く楽器・・・・シロウトの勝手な思い込みですが。
イギリスの小さな町の小さな美術館で時間を潰していたとき、遠くの方から夢のような天国のような響きが聴こえてきて、何だろうと行ってみたら、小部屋で一人の若者がリュートを弾いていました。
館内にはほとんど人がいなくて、ストーブの音と曇った窓と冬の匂いだけで、私は床にペタっと座って、ずーーーっと聴き入っていました。
何年か前に、スティングがリュートのアルバムを出しました。
ジョン・ダウランドの作品集「Songs from the Labyrinth 」
ダウランドとリュートは、イギリスにいた頃の自分の記憶と鮮明に結びついています。
17世紀のダウランドの音楽と歌の心は、その後のビートルズやイエスやボノなどに脈々と受け継がれてきたんだな・・・と実感します。
ロックミュージシャンで歳とるとリュートとか中世音楽やりだす人って結構いますね。Richie Blackmoreなんかもやってるみたいです。吟遊詩人みたいなイメージなんでしょうね。
私はバッハのリュート曲ですと、BWV996 Boureeがとても好きです。あと、無伴奏バイオリン組曲をリュート用に編曲したBWV1000なんかも好きですが、とても弾けそうにありません。最近、この曲の鍵盤バージョンがBWV539として存在することを知ったんですが、glennmieさん弾いてみませんか?
by macha (2010-11-23 14:41)
machaさん、コメントありがとうございます。
体制に媚びないアンチ・ヒーローの吟遊詩人は、ロック・ミュージシャンのルーツかもしれないですね。
リッチーとか、ジミー・ペイジって、まんま中世のお坊さんみたいな雰囲気ですものね。
日本の琵琶法師とかも、似たイメージですね。
あっ、でもダウランドは宮廷人でしたけど。
BWV996のブーレは鍵盤曲にありますが、539のほうはオルガン用です。
オルガン曲をピアノで弾くのって、なかなか大変なんです。見たまんまの楽譜通りだと倍音が足らないから、さらに音を重ねなきゃならないんです。
ご存じないでしょ、以前オルガン曲を自分でピアノ用にアレンジしてupしたの。2曲ほど。
大失敗だったのよ~!!
by glennmie (2010-11-23 16:02)
PENGUINGさん、nice!ありがとうございます。
by glennmie (2010-11-23 16:14)
takemoviesさん、nice!ありがとうございます。
by glennmie (2010-11-23 18:02)
glennmie 様
確かにオルガンは、持ち運び不可能な楽器の最たる例ですね。絶対不可能とは言えませんが、ピアノもその例の一つだと思います(ピアニストの中には、Michelangeli のように、自分のピアノを持ち運んで演奏したピアニストもいましたけど)。学生の頃、ピアノ科の友人から、<お前らは良いよな、自分の楽器を持ち運んで、自分の楽器で演奏出来るんだから>と、言われました。
僕にとって<いつも一緒の楽器>の最たる例は、<声>なんです。肉体の一部が楽器になるって、凄いと思いませんか?まぁ、管理が大変ですけど。
リュート・ソング、僕も大好きです。20代の頃、勉強しました。持ち運び可能な楽器(声とリュート)のベストマッチのコラボレーション、本当に素敵ですね。型に捉われない自由さを感じます。
arata
by arata (2010-11-23 20:42)
arataさん、どうもありがとうございます。
そうでしたね!私たちの「声」がありましたね。
楽器も楽譜もなくたって、私たちは音楽を表現できるんですよね。
ダウランドのリュート・ソングは、世俗曲だし英語ということもあってなんとなく親しみやすいんです。
ベルカントではないスティングの声がとても素敵に響く・・・arataさんのおっしゃるように、型に捉われない自由さと普遍性に満ちていると思います。
だから、音痴な私もCDに合わせて楽しく歌っています。
(でも、結構悲しい内容の歌が多いんですよね。)
by glennmie (2010-11-23 22:02)
アヨアン・イゴカーさん、nice!ありがとうございます。
by glennmie (2010-11-24 00:29)
xml_xslさん、nice!ありがとうございます。
by glennmie (2010-11-24 02:22)
くまらさん、nice!ありがとうございます。
by glennmie (2010-11-24 21:20)
沖縄からです。本日は会議の合間に美ら海海洋博物館に行きます。ところで演奏する場所にセバスチャンを運ぶように世界中に自分のピアノを運んでいたピアニストがいますよ。アルトーロ=ベネデッティ・ミケランジェリです。彼が最後に日本でコンサートを行う予定であったとき、かれは船旅でピアノを運びました。挙句に果てに調律が気に入らず、演奏をせずに帰ってしまい、ピアノが一時差し押さえられたことがあります。私もそのときチケットを買ったのですが、残念な思い出です。
リヒテルの言葉は痛切ですね。
by Mineosaurus (2010-11-25 07:37)
Mineosaurusさん、ありがとうございます。
美ら海海洋博物館ですか!
いいなぁ~~~~!!!
一度は行って見たいところです。いいなぁ・・・
ミケランジェリさんのあの魔法のような音は、他のピアノでは出なかったからなのでしょうか。最後の日本公演のキャンセルは急病のためではなかったんですね。
そう言えば、トロント公演での彼のドタキャンの穴埋めをGouldがしたんですよね。(アンチェロ指揮の「皇帝」)
ミケランジェリ、Gould、リヒテル・・・・凄い人はキャラも濃い~んですね。
by glennmie (2010-11-25 09:45)
(。・_・。)2kさん、nice!ありがとうございます。
by glennmie (2010-11-25 16:08)
こんにちは!
私は少々、歌を歌うのですが(クラシックをはじめいろんなジャンルで)、ピアノ伴奏を自分ですれば拙く、誰かに頼めば不自由。
自分の声と同じくらい自由に伴奏を操れそうなリュート!
歌と伴奏と自分が一体になれるようなナチュラルさが素敵です!
そうほんと、ビートルズですね~♪
by yoppy (2010-11-25 22:33)
yoppyさん、コメントありがとうございます。
yoppyさんは歌を歌われるんですね~。
歌の上手な人って、魅力的ですよね。
私も歌うのは大好きなんですが、ヘタなので、もっぱら自分のために歌っています。
ダウランドのリュート・ソングは、メロディーも美しいし歌詞も英語なので、親しみがわきます。
リュートは無理ですが、ちょっとしたギター伴奏でも楽しいです。
yoppyさんのレパートリーには入っていますか?
by glennmie (2010-11-26 00:22)
ユーフォさん、nice!ありがとうございます。
by glennmie (2010-11-26 02:12)
glennmieさまっ
知らないおじさんにしがみついちゃだめです~~
えっ!?
あっ・・・もののたとえね!? ぎゃはははっ♪
by tamanossimo (2010-11-26 06:16)
tamanossimoさん、どうもありがとうございます。
tamanossimoさんに、美しい声で是非、歌って欲しいです。
今度のリサイタルの演目にいかがですか?
私、感激してしがみついちゃうかも・・・・あっ、迷惑ですよね^^:
by glennmie (2010-11-26 09:42)