SSブログ

Who is Mozart? [音楽雑感]

「モーツァルトの顔 18世紀の天才をめぐる6つの物語」という展覧会に行ってきました。
モーツァルトゆかりの品々を見ることができ、様々なイベントも用意されているとのことで、多くの人で賑わっていました。





初来日の、ランゲ作の未完の肖像画を見ました。

mozart34years.jpg






遺髪も見ました。

20111121103255_01_400.jpg

(あまりにもリアルで、モーツァルトって本当にいたんだ・・・って、当たり前なんですけど、妙にリアルで、
ちょっと気分が悪くなってしまいました。)






自筆譜も沢山見ました。

nannel.jpg

これは、お父さんのレオポルトが、モーツァルトの姉、ナンネルのために書いた「ナンネルの音楽帳」です。
とても丁寧で几帳面な筆致ですね。






こちらは、モーツァルトの筆跡、「キラキラ星変奏曲」の自筆譜です。

20111121103502_13_400.jpg

とても繊細で美しいですね~。






楽譜を見ていたら、そばにいた人の会話が聞こえてきました。
「壊れキャラのわりには、楽譜はちゃんと書くんだねぇ・・・・」



これを聞いたら、モーツァルトもきっとへこむね。





19世紀頃までは、モーツァルトのイメージは、天使のような「神童」だったはず。
最近はどうも「壊れキャラ」のイメージが先行しているようですね。

学生時代に、ヒルデスハイマーの「モーツァルトは誰だったのか」という本を読んだことがあります。
確か「モーツァルト神話のベールを剥ぐ」というような内容で、彼の私生活を入念に調査し、プライベートな手紙の内容まで公開して、素顔のモーツァルトは実は不潔でだらしない、狡猾で利己的なヤナ奴だったんだ、とそんな内容でした。
読んだ後、なんとなくこの本に不快感を感じました。
もしモーツァルトが知ったら、「縁もゆかりもないあなたが勝手な想像しないで。手紙返して!」ときっと言うだろうな~。
他人のバスルームの中や私的な手紙の内容をこと細かく探ることって、いやらしくないですか?
それが歴史的な人物や有名人だったら、研究のためとかって立派な業績になるのかしら・・・
(ブラームスは、自分の手紙、特にクララ・シューマンとのやりとりはすべて焼いてしまったんだそうです。
後々までいろんな人に好奇の目で探られたり面白がられたりしたくない、という意思表示だったんでしょうね。)




それと、「アマデウス」という映画。
この映画も現代のモーツァルト像に影響大だと思います。
とても良い映画だし楽しく見たのですが、
妻に「ヴォルフィー」と呼ばれ、ピンクのカツラを被って呆けたように笑うモーツァルトの姿には、ちょっと・・・
やりすぎじゃない?と思った。






モーツァルとは誰だったのか・・・




誰だっていいじゃないですか。
彼は素晴らしい作品を沢山、沢山この世に残してくれた。
それでいいじゃないですか。
作品の中で、彼は私たちに多くのことを語りかけてきてくれます。
励ましてくれたり、慰めてくれたり、時にははしゃいでふざけてみたりしてしています。
作品に直接触れ、心から理解しようと努める事が、彼の真の姿に触れる一番の近道なのではないか。



・・・そんなことを思った一日でした。














nice!(15)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 15

コメント 8

musselwhite

こんにちは。
人間性は兎も角、耳から入ってくる音楽がモーツアルトならそれで充分なんです…(笑)
先日折角評論を頂き、タワレコへ向かいましたが、どうしてもグールドとモーツアルトが結びつかず、買う事が出来ませんでした。
結局シフとバレンボイムを買いましたが、やっぱりグルダが最高でした。
思い込み、イメージって恐ろしいですね…。
by musselwhite (2011-11-24 11:36) 

glennmie

musselwhiteさん、コメントありがとうございます。

Gouldのソナタ、youtubeで全曲まとめて聴けますよ。
ここです↓

http://youtu.be/pMnW7FWsmYw

よろしかったら覗いてみてください。

そして、私も同感です。
耳から入ってくる音楽が素晴らしければ、私にとってその人は素晴らしい人です。それだけのことですね。

by glennmie (2011-11-24 12:34) 

たこすけ

こんにちわ。
youtube、すごいのを教えていただきました。ありがとうございます。
グールドのモーツァルトは聴いてみたいと思っていました。
しかし全曲が一つのファイルというのもすさまじいですね(^^)。
by たこすけ (2011-11-25 11:37) 

glennmie

たこすけさん、コメントありがとうございます。

すさまじいですね^^
同じ方が貼ってくれたファイルで、Gouldのベートーヴェン・ソナタ全曲というのもありますよ。
こちらも4時間40分の超ドデカ動画です。
この大盤振る舞い、すぐに削除されてしまわないことを祈ります。
by glennmie (2011-11-25 12:38) 

般若坊

肖像画に遺髪がつけられていると ギョっとしますね!リアル過ぎて・・・
by 般若坊 (2011-11-26 20:50) 

glennmie

般若坊 さん、コメントありがとうございます。

そもそも髪の毛って怖いですよね。
石膏のデス・マスクより、私、ダメかもしれないです。
同じリアルでも、自筆譜には感動しました。
本当に、サラサラと書かれていてとっても綺麗でした。
by glennmie (2011-11-26 23:15) 

般若坊

glennmieさん おはようございます。
モーツァルトの楽譜のきれいなことは、あのアマデウスの映画でも出ていました。書き直しの跡もなく、頭に浮かんだそのままがスラスラと楽譜に書き写されているのに驚いている場面がありました。
遺作レクイエムには心が打たれます。INTROITUSまでですが(これで充分ですが)死が迫る中でも曲がほとばしり出る有様に、鬼気迫るものを感じます。早世が惜しい作曲家でした。
by 般若坊 (2011-11-28 11:26) 

glennmie

般若坊さん、

ほんとうに、おっしゃるとおりですね。
自分の存在を超えるほどの才を天から与えられてしまった人。
計り知れないほどの大きな才能を抱え込むには、人間の体はあまりにもか弱くて、はかない・・・ということなのでしょうか。
芸術家の人生は、いつも哀しいですね。
by glennmie (2011-11-28 12:33) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

Clementi_Sonatina Op..楽典マニア ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。