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平均律DVD [音楽雑感]


これは、自宅でインヴェンションを練習しているGouldの様子です。




とっても楽しそうだね、Gould。
次から次へと、、まるで帽子の中からハトが羽ばたいて出てくるように、素晴らしい音楽が溢れ出ててくる。
凄いな~、Gould。
曲名を番号ではなくて、調名で呼んでいますね。
何気ないけど、実はここが大きなポイントだなぁ・・・[るんるん]






BBCから、個性的な平均律のDVDが出ています。
これがとても面白くて、最近よく見ています。
1巻、2巻合わせて48曲を4人のピアニストが弾いてるのですが、この人選には意味があるのかな。
4者4様の解釈がとても興味深く、どの演奏も素晴らしいんです。
音響も映像もとても凝っていて、まるで48編のショート・ムーヴィーを観ているみたい。
それこそ次から次へと、様々なBachが楽しめます。



Vol.1





Vol.2









1巻の前半を弾いているのは、アンドレイ・ガヴリーロフさん。
ロシアのピアニストです。
演奏している手の形を見るだけで、あっロシア人!ってすぐにわかりますね~。(笑)
窓枠に座って話していたり、巨大な指輪をつけて演奏したり、うん、面白い人ですね。
でも演奏は奇をてらったものはではなく、とてもとても美しいです。
(この人、リヒテルに似てるなぁ・・・・)

でも、なんだろう・・・・
インタビューを聞くと、コメントが、
very very beautiful・・・・・・very very brilliant・・・・・very very ・・・・・
ばっかりじゃん。
ピアニストとしてどのように素晴らしく演奏するか。
Bachがメインなのではなく、「Bachを弾くガヴリーロフ」ということなんだろうな。





1巻の後半は、イギリス人のピアニスト兼作曲家の、ジョアンナ・マグレガーさん。
実は私は、この人の大・大・大ファンなのです。
憧れるわ~[揺れるハート]
曲の構造や調性に対する言及も、さすが作曲家目線の内容で興味深いです。
流麗というよりは、硬いカチカチとした演奏で、そこが実にかっこいいです。
対位法の曲って、1本の音の並びの中にも内声や複数のフレーズを内包しているじゃないですか。
一見2声の曲でも、よく見てみると実は4声体に分けられたりする。
例えば、4つキレイに並んだ音符を、敢えて1+3に分けてしまう、2+2、3+1に分断してしまう。
だから、構造主義に徹すると、粒立ちが綺麗にならんだ演奏には決してならない。
「作曲家が弾くBach」というところでしょうか。





2巻の前半は、ロシア人ピアニストのニコライ・デミデンコさん。
この人の演奏は、とてもロマンチックで魅力的。
絵画的、詩的、色彩豊かな演奏で、ウットリしちゃいますね。
これはもう、「ロマンチックなBach」
撮影しているロケ地が、これまた超ロマンチックなヴェネチア。
もしや、と思ったらやはり Fazioli で演奏してる。
コメントの中で、ちゃっかりピアノの宣伝なんかもしちゃってる。
「商業主義のBach」ってこと???




そして最後を締めくくるのは、やはりこの人、
アンジェラ・ヒューイットさん。
ここはFazioli つながりかと思いきや、彼女はスタインウェイで演奏している(笑)
Bachの自筆譜を持ち出したり、Bach自身のことに対する言及が多く、
「Bach研究者の弾くBach」ということでしょうか。
彼女のコメントや演奏は、本当にとても勉強になります。
運指も凄いね、所謂「バロック・フィンガリング」を使っています。

(余談ですけど、カナダ人の彼女は子供の頃、Gouldのピアノの先生であるゲレーロさんの奥さんにピアノを習っていたのだそうです。
Gouldはどんな生徒でしたか?と聞くと”unteachable child "という答えだったそうですよ[わーい(嬉しい顔)]







そして、いよいよ明日、
私は1巻最後の曲、24番のアナリーゼ講座にでかけてきます。













タグ:平均律
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Mineosaurus

ガヴリーロフのバッハというをボクは初めて聴きました。昔チャイコフスキーをぶん殴るように弾いていた頃からずいぶん変わっていて驚きましたが、リヒテルの全集の発売元メロディアのような録音ですね。ジョアンナ・マクレガーの演奏はボクにはちょいと変わって聞こえました。近現代音楽の演奏で以前もんのすごいヘアスタイルで弾いていた映像を見たことがありますが、このヴィデオではそれほどでもない。でも、ラグタイムを聴いているような雰囲気がありますね。左手の音の重なりがそんな風に時々聞こえます。いいですわこれ。
デジミエンコ、ニコライエワに似てるなぁ。ファツィオリは現代の製品なのにピアノのフォルムが古雅だね。ハンマーのフェルトに手作業を復活させているんだね。こりゃCMっぽい。目をさらにして足元を見てたけど、ペダルの数がよくわからなかった。
シックでロマンティックでした。
おもしろい企画ですね。国営放送がやることはちょっと捻りがきいてる。
余談だけど、BBC放送からの郵便物ってロイヤルメールの判子ひとつだね。ボクは以前BBCの子供番組に画像を沢山使って貰ったことがあって、相手のメールは3日で届いたので、こっちもそのつもりでMOを送ったら1週間かかって肝を冷やしたことがあります。
行ってらっしゃい!
by Mineosaurus (2012-06-16 10:51) 

glennmie

Mineosaurusさん、とても興味深いコメントを残してくださって、どうもありがとうございます。

ガヴリーロフさん、私も、彼がプロコフィエフをぶん殴るように弾いていたコンサートに行ったことがありますよ。
大病をなさったそうですが、人生観とか音楽観に変化があったのかもしれませんね。

マクレガーさんのライヴには何度か行ったことがあるのですが、ほんとカッコイイです!その時もドレッド・ヘアーでぶっ飛んでいましたが、いろんな意味で凄い人だと思います。彼女のジャズの作品は王立音楽院検定の指定曲にもなっています。

そうか、BBCは、王室御用達の放送局なんですね~。
一方日本の国営放送はといえば、N響アワーは終わってしまうし、芸術劇場もなくなってしまって。。。
BBCがうらやましいです。

最近、なんだか落ち着きなくバタバタしていましたが、Bachのお勉強会に行って来て、とてもとても刺激を受けて帰ってまいりました。
平均律1巻を全て教えていただいたことになるんですよ~。
どこまで身についたのかなぁ。
素晴らしい先生に感謝の気持ちを込めて、お勉強の成果をまとめてみたいと思っています。
by glennmie (2012-06-16 21:24) 

SILENT

こんにちは はじめまして
SILENTと申します
またおじゃまさせてください
by SILENT (2012-06-17 05:04) 

glennmie

SILENTさん、はじめまして。

ご訪問くださって、どうもありがとうございます。
是非また遊びに来てください。
いろいろなご意見をいただけると、とても嬉しいです。
by glennmie (2012-06-17 08:11) 

Enrique

インヴェンションを練習しているグールドとはまたこれは貴重な音源ですね!どちらから?確かに番号よりも調性の方が曲を表しますね。

BBCの「平均律」は以前NHKでも放映されたと思います。見ていました。
ウェル・テンペラメントは現在の12平均律とは違うと良く言われますが,かなり均された音律で弾かれたことは間違いなさそうです。第一巻と第二巻で違ってそうとも。21世紀に入っても,限りなく平均律に近いものが「Bach音律」と称して多数提案されています。ここまで来ると,音律と言うよりもほとんど調律の範囲内であるような音律もあります。
by Enrique (2012-06-18 18:16) 

glennmie

Enriqueさん、コメントありがとうございます。

カナダ国営の「Library and Archives Canada」というサイトが、Gouldの資料をいろいろ公開してくれています。
とても珍しい貴重な音源や写真などもありますよ。

このビデオはNHKで放送されたんですね。
私も見たかった(残念!)

Bachの音律は限りなく平均律に近い・・・・なるほど・・・
平均律は調の差がないのだから、全てハ長調で弾いても同じ、という「ハ長調で弾く平均律」みたいな楽譜をみたことがあるのですが。
それでいいのだろうか、と疑問でした。
変ロ長調がふんわりと優しいとか、スモーキーなヘ短調とか、自分の中にあるイメージは、じゃあ錯覚だったのかしら・・・と。
貴重なお話をありがとうございます。
by glennmie (2012-06-19 03:46) 

ユーフォ

楽しそうなGouldさんの気持ちが伝わったのか?
練習風景の音源を聴きながら、我が家のピッピは
大胆な水浴びをしています^^

セバスチャンの変身は完了しましたか?
Gouldさんが奏でるセバスチャンの音色が
また聴ける日をピッピと共に楽しみにしております♥
それまでは、GouldさんやGouldさんのMixPodを
聴いて待っていま~す♪
ユーフォ相方
by ユーフォ (2012-06-21 10:22) 

glennmie

ユーフォ相方さん、コメントありがとうございます。


セバスチャンの調律はまだなんです・・・(´_`。)
ビンボーになっちゃって・・・
それでもちゃっかり、録音はup しようと思っています。
今、練習中なのですが、Gouldみたいに楽しくパラッと弾けるときは永遠にやってきませんねぇ。
ああでもない、こうでもないと、試行錯誤の毎日でうろうろしてます。
まあ、それも自分的には楽しいんですけど。
なんとか形になるように頑張っています。
ピッピにも宜しくお伝えください。
そうそう、ピッピのお腹ハゲさんは治ったのでしょうか。
by glennmie (2012-06-22 01:46) 

mwainfo

ご多忙中いつもお寄りいただき有難うございます。前記事のピタゴラス・コンマ、大変参考になりました。ブルーバックスの「音律と音階の科学」の理解に役立ちました。有難うございました。
by mwainfo (2012-06-22 15:57) 

glennmie

mwainfoさん、コメントありがとうございます。

音律の話はとても興味があるのですが、難しくて・・・少しでもお役に立てて嬉しいです^^
4000年前の人間は偉大だったのですね。
画一化されて、便利で安楽な生活に安穏としている現代人は明らかに退化してますね。
先人から学ぶべきことが沢山ありますね。
by glennmie (2012-06-23 02:19) 

Halumi

こんばんは。グールドのインヴェンション、すてきですね!
やっぱり歌ってますねえ~^^
それから今さらながら凄いテンポ感だなあと感動しました。

私はチェンバロなど古楽器の演奏を良く聴きますが
バッハの作品はピッチが半音ほど低いので
同じ曲を自分でピアノで弾いてみると
色合いが全然違ってビックリすることがあります。
そうなると、バッハがどう思ってこの調でかいたのかとか考えて
大混乱におちいるのです・笑。

by Halumi (2012-06-23 22:48) 

glennmie

Halumiさん、コメントありがとうございます。

Gouldさんて、とてもせっかち。
インタビューを聞いていると、ものすごい早口だし。
私のAllegroは、たぶん彼のModeratoかしら^^

テンポ感とか調性感て、相対的なものだと思うんです。
車がなかった時代には馬車がとても速い乗り物だったし、電気のない時代にはガス灯はとても明るかった・・・・
全てが半音低かった時代の住人になってしまえば、ハ長調はやはりハ長調なのだと思います。
by glennmie (2012-06-24 01:32) 

ユーフォ

glennmieさん
こんにちは^^

わぁー。
今後、Upの予定があるのですね(^O^)/
ピッピと一緒に聴ける日を楽しーみにしています♥

調律代、結構かかりますものねー。
でもでも、風邪ひきなセバスチャンの声も以意外
とイケルかもしれない・・・? 

ご覧になられたので、ご存じですよね^^
お陰様でピッピのお腹禿げチャンは
治りました~♪
音楽の好きなピッピには音楽療法も効いたかも~です。
ユーフォ相方
by ユーフォ (2012-06-28 11:45) 

glennmie

相方さん、ありがとうございます。

なんだか最近バタバタしていまして、家にいる時間が圧倒的に少ないんです。
じっくり録音に時間がとれないので、なかなか思うように録れません。
パシっと一発で決まる演奏をしてみたいものです。
ご親切なコメント、ありがとうございます。

ピッピは復調したんですね^^
私も見習って、早く自室のピアノ生活に戻りたいです。
人混みとか、すんごく苦手なので、外にいる時間が増えるとそれだけでボロボロになってしまいます。
やっぱり音楽療法にかぎりますね!
by glennmie (2012-06-29 02:35) 

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