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'Siegfried Idyll'......練習の記録 [Gould]

ただ今、Gouldが編曲した「ジークフリート牧歌」と、格闘中です。
そう、まさに格闘中です。
やっとやっと、どうにかこうにか音がとれるようになってきました。
おいおい、1週間もかかってしまったぞ[あせあせ(飛び散る汗)]


これ、本当にむずかしい・・・
何がむずかしいって、この人の楽譜を読み解くのが非常に難儀なんです。
私のはかなげな脳細胞には、かなり過酷なんですよね・・・・
一応ピアノ譜の形はとっていますが、右手と左手の区別はないに等しいです。
運指も手の指定もないので悩むことしきり。
メロデイーを両手分割でとったり、左が右を越えて、右が左をくぐって、左が3声分を担当しながら
メロディーの一部に参加したり・・・・もつれるの。
オーケストラ譜を見ながら弾いているのとあまりかわらないんじゃないの?と、思う。




参考に、オーケストラ譜も見てみました。
そして、いろいろなことに気がつきました。
基本、原譜に非常に忠実に編曲してあって、それを10本の指で最大限再現できるように
とてもセンスよくまとめられていることがわかりました。
所謂ピアノ・アレンジにありがちな、華麗な装飾とか派手な演出は一切なく、原曲そのものの響きにこだわっているところがまた素敵です。
弦楽器の長~い音なども、トリルやトレモランドにせず、ポツンと一音だけ。
低音をポツンと置くと、その間に他のパートの旋律を重ねていくものだから、一音一音の意味と成り行きを把握していないとぐっちゃぐちゃになってしまいます。



確か以前にも書きましたが、Gouldがピアノ編曲について語っているインタビューがありまして、
そのポリシーが今、はっきりわかってきました。
重複しますが、もう一度載せておきます。

●左手の音をオクターヴで轟かせることはしない。
左手のベースラインをオクターヴ取りで、ダダダッと鳴らす手法。
リストやブゾーニがBachのオルガン曲を編曲する時に良く使う手法ですが、音の透明感や指の独立を妨げるからよろしくない。
見た目には凄そうですが、「ママ見て、手放しで乗れるよ!」的な効果を発揮するだけで、音楽的には意味がないと言っています。

●ロング・トーンはトレモランドにしない。
これもリストがよく使う手法ですが、これは使わない。
リストは、ひどい時には左手ばかりでなく、右手までもトレモランドさせていて、まるで近所のセイディーおばさんが自宅のリビングでアップライト・ピアノを嬉々としてかき鳴らしているようでいやなのだそうです。

●ピアノに精通した人がオーケストラ曲を作るとどうなるのか、と逆に推測する。
ピアノの音は減衰音であるのだから、再現するにはどうしても制約が出てきます。
まず、音が減衰していくことも考えずにいつまでも和音を押さえておかない、
弦のパートで和音がだんだん音量を増して行くのを期待してはいけない、という決まりを予め作り、その代わりの手法として、モティーフに時間的なズレを施してテーマが止まることがないように、などの工夫したのだそうです。



う~~ん・・・究極の凝り性ですね。
こんなにこだわって心を込めて編曲されているのを知って、もっともっと頑張らねばと思いました。
大切な楽譜、感謝しながら心を込めて弾かせていただきます。





彼は後に、実際にオーケストラを指揮してこの曲を録音していますが、
私は断然、このピアノ版が好きです。


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作曲家や指揮者になりたかったピアニスト。
自分はピアニストではない、と言うピアニスト。
だから他の誰とも違うピアニストとして、彼は素晴らしいのだと思います。






おまけ

昔よく聴いていたレコードがyoutubeにありました。
チェリビダッケ










 
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